【うたの☆プリンスさまっ♪】あなたの全てが好きだから
第3章 思いがけないメール
龍也さんに案内されて、私は控え室と書かれた部屋の前に着いた。中は少し騒がしい。
「俺だ。龍也だ。入るぞ」
有無を言わさない言い方で、龍也さんは扉を開けた。
「日向先生! お疲れ様です!」
中から元気の良い声が聞こえてくる。
「あァ、お疲れ様。嶺二、連れて来たぞ」
龍也さんが私を振り返り、顎で前に出ろと合図をした。
「……」
私は黙って部屋の中に入った。
「なっ……桜さん……!」
蘭丸くん、藍くん、カミュくんが目を見開いて驚いている。
「……久し振り、みんな」
私は薄く微笑んだ。
「……嶺二、久し振り」
「うん、久し振りだね」
いつもの営業スマイルで笑う彼を見て、本当に変わらないと改めて感じた。
「どうして……桜さんがここに?」
蘭丸くんが眉間に皺を寄せて聞いて来た。
「そこのバカに呼び出されたの」
私は片目を瞑って、飄々としている彼を少し睨んだ。
「そのうち、文◯に載せられるわよ?」
「怖い顔しないでよ」
あははと軽く笑って誤魔化している嶺二に対して、瞑った片目を開き、目を細めてさらに睨みを効かせた。
「……それで? さっきのメールに書いてあった用事って何?」
私はスマホを片手で揺らしながら尋ねた。