【うたの☆プリンスさまっ♪】あなたの全てが好きだから
第1章 輝いている彼
「じゃあ、離れちゃうね」
「また終わったら連絡するよ。帰りに飲み会でもしない?」
「いいね! じゃあ、また後でね!」
彼女たちとは入る扉が違ったので、2人に手を振って別れた。そして、そのまま会場の中へと入り、自分たちの席の方へと向かった。
「今日、とことん運がいいよね! グッズは買ってもらえたし、なんだかんだ言ってグッズは全部交換できたし! この感じだと、藍ちゃんからファンサもらえるかな?」
「きっともらえるよ」
美雪と会話をしながら、舞台の方へと歩いて向かう。
(ファンサか……)
ーー彼はきっと、たくさんのファンの子達にするんだろうな。それが、彼の信念でもあるのだから……。
「あ、桜、ここだよ」
前から2列目の席まで来て、美雪はとある場所を指を差した。ステージの方を見ると、すごく近く感じる。この距離だと、ステージ上の演者からも十分観客の顔が見えるだろう。
「ごめんなさい。通してください。ごめんなさい」
私と美雪はもう既に自分の席に座って、開演を待っているファンの人たちに頭を下げながら自分たちの席へと進んだ。みんな快く荷物をどかしてくれたり、足を折り畳んだりしてくれたりしたから、とても助かる。
そうこうしているうちに、自分たちの席へと着いた。