【うたの☆プリンスさまっ♪】あなたの全てが好きだから
第1章 輝いている彼
「……全部嶺二だ……」
トレーディングチャームも何円以上お買い上げでプレゼントされるキーリングも全て、嶺二の物だった。これは奇跡に近い。
「え!? 桜、また嶺ちゃん当てたの!? 本当に運いいね」
美雪は大きな瞳をさらに大きくさせて、私が開けたグッズを見ている。美雪が驚くのも無理はない。だって……。
「またってことは……前もこんなことがあったの?」
亜紀さんが美雪の後ろから、顔を覗かせて私のグッズを見る。
「桜、いっつもトレーディンググッズは嶺ちゃんのしか当てないの。今まで観に行ったライブのグッズもシャニストのグッズも全部!」
美雪は口を尖らせた。彼女が少し拗ねてしまうのも理解できる。美雪は大抵、藍ちゃんのグッズを当てれていない。運が悪いと言うよりも、推しは当たらないのが普通だと思う。毎回毎回推しが当たるなんて、そんなことの方が珍しいのだから。欲のあるところにグッズは行かないように神様が操作しているのだ、とは良くヲタクの間で言われていることだ。
「それはすごいね。そんな子、聞いたことない」
だからこそ、誰にこの話をしてもとても驚く人が大半だ。そんな経験をしている人なんて滅多にいないのだから。
亜紀さんも驚いて、目を丸くしている。