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【うたの☆プリンスさまっ♪】あなたの全てが好きだから

第1章 輝いている彼


「そんなことより、早く袋開けなよ。交換するなら、早めの方がいいし」

「そうだね! じゃあ、まずトレーディングチャームから……」

 美雪は亜紀さんに言われた通り、次々とトレーディング物が入っているグッズの袋を開けていく。しかし……。

「うう……藍ちゃん、全然入ってない……」

 美雪が藍くんのグッズを当てることができたものは一つもなかった。ここまで当たらないことも珍しいが、推しは狙おうとすればする程、当たらないと聞いたこともある……。

「ほらほら、落ち込まないの。トレーディングチャーム、私、藍ちゃんの持ってるから交換しよ。美雪の持ってるやつ、蘭丸のだからちょうど良かった」

 亜紀さんは自分が持っていた藍ちゃんのトレーディングチャームを美雪に渡した。これも良くあることだ。友達の推しばかり当ててしまう謎の現象……。

「亜紀ちゃん、ありがとう……」

 美雪はまた目に涙を浮かべて半泣き状態で、亜紀さんにお礼を言った。まだライブも始まっていないのに、泣きそうになってばかりだ。

「ほら、桜ちゃんも」

 2人のやり取りを傍観者となって見ていると、麗奈さんが声を掛けて来た。
 
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