【うたの☆プリンスさまっ♪】あなたの全てが好きだから
第1章 輝いている彼
しばらくして、代行をしてくれた子からグッズが買えたと美雪のスマホへ連絡があった。待ち合わせ場所を決めて、彼女たちと合流することができた。
「亜紀ちゃん! グッズありがとう!」
美雪は渡されたグッズを見て、満面の笑みを浮かべた。念願のライブグッズだ。この機会を逃すと、もう二度と手に入れることができないかもしれない。
「どういたしまして。この前、別の会場のライブチケットを譲ってくれたお礼だよ」
ワインレッドのロングスカートにライブTシャツの上から黒のレザージャケットを羽織った女性がニコッと微笑んだ。その子の隣には少し濃いめの水色のロング丈ワンピースを着た綺麗な女性もいる。
「ありがとうございます。急に頼んでしまって、申し訳ございませんでした」
「気にしなくていいよ。何かあるといけないから、たくさんお金持ってたし、麗奈もいたから大丈夫だと思ってたしね」
亜紀さんと麗奈さんは2人とも微笑んでくれた。優しい人で良かった。美雪の知り合いなのだから、そんなことは有り得ないのだが、ファンの中には代行をしたのだから、代行分のお金を寄越せと言って来る人もいて一時期問題になったのだ。