• テキストサイズ

怠惰症候群

第3章 雪解け


啓太は顔を上げた。
まだ顔を上げない香苗の背中を見つめる。
あの日抱きしめた、体。

この細くて華奢な体で、たくさんの事を背負っているんだろう。
傷だらけで血を流して抉れた心のまま、俺の前では笑顔で過ごしていたなんて信じられない。
笑顔の裏で本当は、矛盾とか逃げ道とか、申し訳なさとか憤りとか、複雑な感情と戦ってたんだろうな。
もちろん今も、きっとこれからも。

1年かぁ・・・どれだけ苦しんだんだろう。
今日みたいに眠れない夜に、全部自分が悪いって責め続けてきたんだろうな。
なんで俺、苦しんでる香苗さんに気付かなかったんだろう。
ストーカーの事件についても話を聞いていたのに。
なんで話に聞いた時から、香苗さんの悲しみを分かってあげられなかったんだろう。


今更だけど、調子いいけど、こんな俺でよければ頼って欲しい。
香苗さんを傷付ける奴らから香苗さんを守りたい。
香苗さんを隣で支えたいよ。
/ 57ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp