第3章 雪解け
「でもね、クズって思うのに、呼ばれたら嬉しくなるの。」
香苗はまた笑う。
「でも抱かれて家に帰ったらやっぱり嫌になって、別の元彼も会いたいって言って来るし、でもそれは断らないあたしが悪くて、そもそもストーカーについていったあたしが・・・だけどあれは向こうが・・・でもあたしがしっかり拒否しなかったから・・・あぁ、もう・・・。」
声がくぐもる。
「訳分かんないよ・・・。」
啓太も同じ気持ちだった。
「それで全部に疲れて・・・眠れないから大学に来て、電気ついてたからここに・・・。」
涙が香苗の膝に落ちた。
啓太の胸がギシギシ軋んだ。
「そうしたらあんたが・・・。」
抱きしめたかった。
抱きしめられなかった。
「原田は今更あたしを愛して、それで、前みたいにあたしを抱くの?」
聞きたく無かった。