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怠惰症候群

第2章 極寒


「あはははははははは!」
香苗が高笑いをあげた。
泣いたまま笑っていた。
啓太はぞっとした。
狂ったかと思った。

「なのにその元彼、しばらくして寂しいからってあたしを呼び出して抱いたんだよ?」

もう啓太の理解の範疇など、とうの昔に超えていた。



「半年ぐらい前かな。あいつに呼び出された時、笑っちゃうぐらい自分が未練たらたらなのに気付かされたの。」
香苗はまた自分を笑い飛ばす。
「あいつ、会った瞬間に抱きついてキスして、足に固いもん当てて来るようなクズなのにね。」
啓太の頭痛が首まで下がって来た気がした。
「でも何度も抱かれてるうちに、好きなんて忘れちゃった。」
床を蹴り上げて椅子ごとくるくる回転する香苗。
「別の元彼にその愚痴を聞いてもらったら、俺も寂しいからってその場で押し倒してきたけど、あたしには全部がどうでもよかった。」
回っているからか、声が震えていた。
「セックスなんて、快楽を得るためか遺伝子を残すための欲求でしかないんだよ。」
回転が止まる。
「あたしが寂しさを埋めてあげればみんなハッピーでしょ?だから原田も気にする事無いの。」
香苗はまたいつもと変わらない笑顔に戻っていた。
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