第1章 冬
紙に続くように力無く椅子に腰を下ろす。
パソコンの隅に目をやると、日付はとっくの昔に変わっていた。
今日も無駄な1日を過ごしてしまった。
啓太は何度目になるか分からないため息をこぼす。
発表までにはまだまだ時間があるとは言え、ここまで結果が出ないとなると落ち込む。
緊張の糸が切れた啓太は、机に突っ伏して重い瞼を落とした。
「香苗さーん・・・。」
気の抜けたついでに呼んだ名前に答えてくれる人はここにはいない。
会いたいなぁ・・・。
啓太は瞼の裏に焼き付いた香苗の笑顔を思い浮かべた。
こういう時は無性に香苗さんに会いたくなる。
相談すると、いつだって「しょうがないなぁ。」って笑ってアドバイスをくれる。
たまに的外れな時もあるんだけど、いいんだ。
結局は香苗さんに話しかけたいだけなんだから。