第1章 冬
彼女と寄りを戻して気付いた事が3つある。
1つ、俺はもう彼女の事が好きではないという事。
2つ、彼女より香苗さんが好きだという事。
3つ、でも香苗さんは俺なんか好きであるはずがないという事。
彼女と寄りを戻して恋人として1日まったり過ごしても、どこか物足りなさや苛立ちみたいなものを感じた。
最初は浮気した事での罪悪感かと思った。でもどうやらそうじゃないらしい。
結局俺は彼女より香苗さんの方が好きなんだって気付くのに、そう時間は要しなかった。
こうやってすぐ気難しくなる彼女より、優しくて気の合う香苗さんの方が好きに決まってるじゃないか。
もしかしたらずっと前から、俺は香苗さんを求めていたのかもしれない。
俺が好きだと勘違いしてたのは香苗さんじゃなくて、彼女の方だったんだ。