rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第14章 rain of fondnessⅤ-5
あの施設の中で感じたように、時間の経過に対して体内時計が麻痺を起こしている。
そして今がまた、何時だったか分からなくさせられる。
自分がどれだけ抱かれたか・・・此処に来てからも、どれだけベッドをきしきしと唸らせていたことか。
待ちに待っていた筈のもの、ナッシュから注がれる指撫でや舌を肌に浴び、名無しは逃げ惑うようにして彼のそれに感じていた。
精一杯抵抗してもぴくりともしない掴まれた腕。
足をじたばたさせても、嵩高い身体を前に、抗う行為そのものを阻まれる――。
「や・・ッ、んぁ・・・」
まるで限界まで耐えた果て、そこでようやく齎されていた、身体に欲した愛撫だったのだ。
その快楽の度合いは、声を聞けばナッシュには手に取るように分かっただろうし、実に弄び甲斐もあったであろう。
もはや不要でしかなかった彼女の下着を今更ようやく脱がせてみれば、掴んだそれは糸を引き、蜜を吸っている。
ナッシュは薄い唇に、楕円の下半分を思わせるようにして歪みを浮かばせると、加虐性癖でも匂わせるかの如く、静かに、そして不敵に笑った。