rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第13章 rain of fondnessⅤ-4
「・・・ナッシュ・・?」
「・・――おまえは・・・・ッ、クソ・・」
「!!・・・ん・・、ちゅ・・、は・・ぁ」
「ん・・、ハァ――誰が全部・・・」
「ッ・・・、・・あの・・・!あ・・」
「そうやっておまえはまた・・・――オレを溺れさせやがる・・・」
「っ・・・」
纏わりつく喉の奥に感じる苦味を一人、生唾を飲み込むことでごまかしていると、不意打たれたキスに名無しは目を見開く。
日中と同様、口淫直後に絡み合う舌に、何ひとつ抵抗を見せなかったナッシュに驚くことはもうなかった。
身体に愛撫を注がれ、陽物を咥えられ、目を細めながら感じていた、儚げに見えた彼の面影もまた、既に彼方へと消えていた。
ぎらつくよみがえった強かな視線が、名無しを鋭く睨み付ける。
勿論悪意はなかったそれだが、当然ナッシュの瞳は、彼女をとらえて離さなかった。
「!」
腕をとり、頬に手をやり耳を摘まむ。
ゆるいカーブに指先を添えると、名無しはびくびくと首を振った。
ナッシュの言葉が甘く胸に突き刺さり、忘れていたことをひとつ、思い出さされた瞬間だった――。