rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第13章 rain of fondnessⅤ-4
高い鼻筋にかかる前髪に、汗が滲む。
短く息を吐き、恍惚な表情を浮かべたナッシュの顔を見る為、面を上げた名無しは自身の唇を軽く細指で拭った。
直前まで後頭部を掴まれた余韻が残っていたのは、彼女の髪が乱れたままだったからだろう。
「名無し・・・」
口いっぱいに含んだ、どろどろとした白い熱。
苦しみゆえ、涙目を見せても名無しが生々しく喉をごくりと鳴らしきったのは、自分から、ナッシュに絶頂を味わってほしいと願ったから。
その際もまた、彼女の中に見返りという文字は無かった。
ただナッシュに好くなってもらいたい・・・。
そう思う一心に、「それ」は彼女の意思で、自らとった行いだった。