rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第12章 rain of fondnessⅤ-3
「ん・・、は・・っ・・・はぁ・・」
粘膜の触れたナッシュの肌は、まだ上半身のみではあったけれど熱を持っており、火照りが直接伝わってくるように感じた。
ゆとりが出来て、キスや耳への愛撫以外にも気が行けば、やがて名無しは自分の頭を下へ下へと向かわせた。
準じて体勢も変えると、一度ナッシュの上から退き、今度は首から下を食む為に口を開く。
昼間残した跡を舐め、首筋から肩にかかる墨のライン上をなぞるようにしてねぶると、シーツに寝かされていたナッシュの腕が動いたのが見えた。
何かを強要されるかと思うも名無しの予想は外れ、ナッシュは彼女の頭にそっと触れると、続いてゆっくりとそこを撫でた。
「ッ・・・、ん・・」
夢じゃなかった。
何度か大きな手のひらが女性らしい小さな頭部を優しく撫でると、その行為は数秒でこそ終わったけれど、名無しはとにかく、それを欣喜に思った。
もっとも、恥ずかしさにナッシュの顔は見れたものではなかったが・・・。
ただでさえ今は自分が、彼を愛撫している最中でもあったのだから。
きっと数分後、数十分後の未来には、後頭部を掴まれて何かを強要させられているかもしれない。
それでも、意識のあるあいだに、愛しい人に頭や髪を撫でられることへの喜びを感じ、名無しは頬を染めながら愛でを続けた。
「――・・・」
その模様をなぞり、引き締まる胸筋に舌を伸ばす名無しのことを、情感込めて見つめる・・・。
そんなナッシュの甘やかな眼差しに、彼女が気付くことは勿論最後までなかった。