第12章 rain of fondnessⅤ-3

「・・、・・・！っく・・」

「！・・・ナッシュ・・、ここが・・・感じるの・・？」

「・・・ッ・・ん・・」

「、・・・ん・・、ちる・・チュ・・・はぁ・・」


結局開き直るようにできている心と身体。
こんなシナリオも、たとえ即席でもナッシュの描くそれのうちだろう。

名無しが煽りに折れ、自らナッシュの引き締まった体躯に口付けていると、彼はふとした箇所で口を開き、甘い声を零しながら名無しの所作を一瞬止めさせた。


ナッシュの空いた手は、舌を這わせる名無しの頬や耳たぶに運ばれていて、ただ柔く触れているだけだった。

が、もう片方の手はシーツの上に降りており、その生地を軽く掴みながら、彼女の愛撫に反応を見せていたのだ。


「おい・・・、！ん・・ッ」

「ん・・・ん・・」


声が聞こえたのは、ピアスを避けながら耳朶を甘噛みしていた時だった。

自分は何処を攻められれば気持ちが好いかなど、大体知り尽くされている。

けれど、ナッシュがどうされれば悦ぶかなど、殆ど知らなかったことをこのとき思い知らされた気がした。


名無しは、自分がされて感じること・・・何より嬉しいことを、言われるがまま、段々と従順に続けてみせた。

攻める耳を左右変える時には自ら、しつこく接吻ける寄り道もしながら・・。

伸びた唾液がナッシュの唇を艶めかせれば、そのまま彼の薄いそれに舌を沿わせ、するりと舐め取った。