rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第11章 rain of fondnessⅤ-2
「オレの首に付けたんだ・・・あいつらにいいわけする手間賃の代わりとでも思うんだな」
「っ・・・、やっぱり・・気付・・・!あ・・」
「上手くなったじゃねえか・・・ん・・。・・・悪くねえ・・こんなヒッキーひとつで、オレはおまえの物・・・なんて思わせやがる。まったくおまえは・・・」
「ッ・・・!!あ・・」
「だがそんなことを思いっ放しってのも・・ん・・・オレらしくねえだろう?だからやり返してやる・・何度イヤだっつったって、やめてやるかよ・・」
白く透き通った肌に触れる薄い唇が、数多に跡を刻み込む。
ナッシュが吸い付いた際に響くリップ音は名無しに、度々感じて漏らす、名無しの湿った吐息はナッシュに。
それぞれの耳に心地よく届く水音が、二人の内側をじわりと濡らし、熱を孕ませた。
「ん、ぁ・・・」
首筋より下に幾度となく口付けられ、名無しはみるみるうち、ナッシュの所有物と言わんばかりにその肌を仕立て上げられた。
衝動的で、残された部位によっては無粋と汲み取られてしまうはしたないそれも、惚れた男にされることで悪くないと思ってしまうあたりは、完全に沈溺させられている。
若干の歯痒さが募ったのは、舌そのものを這わされていたわけではなかったということ。
殆ど裸体をさらしていても、前戯とは程遠い、焦れを味わわされている気がして、身体がじわじわと嫌でも疼いてしまうのだ。
胸部は膨らみに残された赤色も、そこに大好きなナッシュの舌がすぐ傍にあるというのに・・・伸ばされもしないことが辛くて、なんともむず痒い気持ちにさせられる。
「は、・・・はぁ・・、ぁ・・、や・・」
ふいに胸ときめくような、ナッシュの口から漏れるには、到底考えられないような言葉を浴びせられたとしても・・・。
自分が夢中になってたったひとつ、彼に残した跡のまるでツケがまわってきたような気がして、どうにももどかしくて仕方なかった。