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rain of fondness【黒バス/ナッシュ】

第9章 rain of fondnessⅣ



「~・・・別に普通だろ・・。それとも、メシ抜いてでもまた早くヤリてえ・・なんて言い出すんじゃねえだろうな・・・?いや、おまえなら言い出してもおかしくねえか」

「な・・っ・・・ちがうもん・・そんなこと・・・ッ」

「ハッ・・・、赤くなってやがる・・可愛いじゃねえか」

「!!」

「行くぜ・・・来い」

「・・・・ッ・・うん――」




ようやく公園を離れたその後のこと。

名無しがナッシュに連れられていたのは、彼がよく行くという大箱の飲食店だった。
チームメイトとも来ることがあると聞けば、よく自分を連れて入れたものだなとも思えたけれど、考えてみればそのチームメイトは、ナッシュの予想通りなら今はみな女のもとにいるのだ。

連れ添って入店したことは店員には知られたが、ナッシュの剣幕を見れば、オーダーを聞きにきた店員が口を割ることもないだろうとなんとなく安心できた。


「・・・・それ・・好きなの?」

「あァ・・?」


二人が訪れていたその場所は、言うならば自国特有の文化に溢れた、オールドアメリカンな光景が広がっていた。
暗めの照明、フロア全体に漂っていたのは、ほどよく入り混じる香ばしいパンと油の匂い。
その香りは、空腹の身である者を実に心地よく煽っていた。

着席するなり自身の好物を中心に複数点、顔見知りの店員に、赴くまま注文するナッシュの横顔を名無しはただ黙って見つめながら、些細な仕草ひとつにも胸を躍らせる。

普通のアスリートと違うと感じるのは、いちいち細かい食事制限をしていないところだろうか。

飲みたいものを飲み、食べたいものを食べる。
それでいてコートの上であのポテンシャルなのだ。

同日少しプレイを見ただけだったものの、ナッシュの凄さは、名無しにも十分伝わっていた。


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