rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第9章 rain of fondnessⅣ
共用のスペースに戻ると、そこには既にシャワーを終えたナッシュが立っていた。
携帯に触れながら自分を待っていた様子だった彼は、当然ながらもう着替えを済ませており、久々に目にする私服姿には、悔しいかな胸が高鳴った。
腹が立つほど長いのはすらりとした足。
半袖ゆえ、ラフなシャツの裾から見えていた墨。
ほどよく嵩高い長身はバランスが整いすぎていて、名無しはこのとき、ナッシュのことを見入りすぎないよう意識した。
これ以上からかわれるのはごめんだ・・・それに、我に返って改めて、この建物から立ち去りたいとも思っていた。
塗り替えられた思い出ができても、塗り替えられる、その前の記憶も残る場所には変わりなかったから――。