rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第9章 rain of fondnessⅣ
「ッ・・・・早いね・・やっぱり。・・・お待たせ」
「チッ・・・、おまえが遅せえんだろ・・・行くぜ」
「、・・・うん・・」
ベンチの上で激しく重なったあと、その身を離したとき、ナッシュの表情がいよいよ名残惜しそうに見えたのがとても印象的だった。
名無しは今の今までそんな彼を見たことはなかったし、口惜しそうだった素振りと艶やかな姿にはどうしてもそそられた。
ようやく繋がりが解けた際には、その比喩に勝るとも劣らず身体はどろどろだった。
溶け合っていたことが実によく分かったし、その身を起こすことが、少しだけ困難だったのも必然だろう。
ナッシュは着ていたトップスを引っ張って、そこで自身の顔の汗を拭きながら名無しに手を差し伸べた。
ようやく堅い板から背が離れて、座せたと思うも、気遣いが向かうのは自身の服。
大量の汗にまみれてはいたものの、偶然にも、その他の体液で上下ともの服が汚れていなかったことは、名無しを心底ホッとさせていた。
直前まで旅行に出ていたのだ・・・着ていたものも、そして下着も余所行きを選んでいたのだろう。
その安堵した顔は、ナッシュにはほんの少し可笑しく見え、愛しさも共にこみ上げさせた。
そうして身形を整えようとした矢先、促されたのは、施設のシャワー室へ向かうことだった。
共用ゆえに男女別室、それぞれ設備の揃っていた其処。
ナッシュが別れて浴びる案を出してきたことが、名無しには意外に思えた。