rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第9章 rain of fondnessⅣ
吐息だけがただただ零れる。
室内の空調は二人の熱を冷まそうとするも追いつかず、じっとりと、汗が今も滲む。
『はぁ・・――ッ・・・はぁ・・』
『・・・・ん・・』
『!!・・・も、・・これ以上・・・ほんとに・・や・・・ン・・』
『突き放せるならやめてやるよ・・・ほうら、押してみろよ・・・オレの身体を。簡単だろう?』
『――ッ・・・そんな・・・、・・で・・』
『ん・・?』
『っ・・・いじわる・・しないで・・・、ナッシュ・・・』
『!・・―――意地悪ねえ・・ハハッ・・・、ん・・・』
『・・ひ、・・あぁ・・・―――ッ』
―――。
――――――。
汗だくになって、もう暑いのはこりごりと感じたのに、身体を打ち付けるシャワーの湯はめちゃくちゃ心地がよかった。
室温を大幅に、体温も上回る熱めに設定した湯は、火照っていた全身には辛いかもしれない・・・が、そんな思いは杞憂に終わる。
ざあざあと、まるで雨のように打たれるその中に紛れるのは、喘ぎ声だったり、吐息だったり、粘膜が絡み合うそれだったり。
つい先刻まで起きていた濃密な時間。
それは名無しが、ナッシュに抱かれていた時に耳にした限りの音色たちだった。