rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第8章 rain of fondnessⅢ-2
「あ・・・ナッ・・、っひ・・・ぃあ・・」
「ん・・・、・・っ・・・ぁ・・」
「・・・おく・・ッ、だめ・・ナッシュ・・」
「っ・・・、そんな耳元で喘ぐなよ・・・、フッ・・オレを煽り返してんのか?」
「・・ッちがう・・・ひ!・・、ぃ・・あん・・・」
「いいさ・・・その声だ・・オレが好きな・・、・・ッ・・・、チッ――」
「?!・・・・は、ぁ・・・ッ、あん・・・、ぁ・・、ぃや・・」
顔を上げたまま、ナッシュを見つめたまま、浴びるにはその律動はとても受け止めきれなかった。
せめて上半身を浮かせて、名無しはただの騎乗に戻ろうとしたのだけれど、どうしても骨抜きにされた身体は言うことをきかなかった。
ナッシュの上に寝そべる行為に甘んじ続け、彼の耳元に沈めた頭は、唇の割れ目から嬌声がだだ漏れ続ける。
好きで啼いていたわけじゃない・・・ナッシュの突き上げはとても淫猥に、絶妙な快楽を名無しに浴びせており、その果てが彼女を甘く喘がせた。
ベンチが悲鳴を上げても、気を散らさずに腰を激しく振っていたナッシュは、その自身のすぐ耳元で聞こえる名無しの声も、息遣いも、全てに愛おしさを感じていた。
時折ピアスが引っ張られるような感触があったのは、名無しの唇があたっていたのだろう・・・くすぐったささえ心地よかったのは、彼だけが知る秘め事。
ナッシュは自身がつい口走ってしまった、想いを言葉に言い換えてしまったそれにハッとし、その瞬間だけは律動を止めた。
ばつが悪そうになったのは、らしくなさも含め、今告げるべきことではないと彼なりに瞬時熟慮していたからだ。
そんな考えなど名無しはつゆ知らず・・・急に動きを止められて、途切れた快感に疑問符を描くと、口淫を強いられた時のように、彼の片手は後頭部に移動した。
「!んん・・・ッ」
何をされるのかと不安がよぎった名無しは、逆にナッシュによって、自分の耳に愛撫を受けた。
脳の中に直接響き届くような、粘着を思わせる卑猥なリップ音で・・・。
ナッシュはそれをすることで、自分の漏らした直接的な本音を、名無しの中から掻き消そうとしていた。
そして同じころ、腰もまた再び突き動かした。