rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第45章 undress yourself.
「あ……ッ、わ…」
「フッ……なに倒れてんだよ。そんなに感じたか?」
「びっくりしただけでしょ……っも…、あ…」
「ン……」
名無しはナッシュに背後をとられ、その突然すぎる距離の近さに驚いて彼から離れた。
半開きのまま放ったクローゼットの戸を閉めようという気も起こらないほど意識を取られ、自身のベッドの傍までそろりと動く。
名無しがそんな所作に出るのも、たった今シャワーの話をしたところに、ナッシュに行為を仄めかされていたからだろう。
逃げる彼女を煽るようにゆっくりともう一度近付き、ナッシュは名無しのまずは膝に触れ、生地ごしにキスをした。
「んっ……だめ…!!な…」
皮膚の薄い膝周りはいつも感じてしまう。
骨の出張った部位を甘噛みされれば、そこから下と上に分かれて快感がじわじわと走る。
ナッシュは名無しに、せめて脱がせて欲しいの意を暗喩しているであろう、シャワーもまだの自分は汚れているからやめてくれという要求に応じることもなく舌を伸ばした。
宛がっていた指はまだひと筋のほつれを辿っており、彼の指の関節がぐっと曲がった瞬間、名無しは言葉もないままにベッドへと倒れ込んだ。
部屋に響いたのは、その僅かな名無しの声になっていない声と、彼女のタイツが無残に裂かれてゆく鈍い擬音だけだった。