rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第45章 undress yourself.
「びっくりした……じゃあシャワーね…。あ、今日使ったタオル貸して?洗うよ……」
「ああ……、…!」
「ん……なに?」
玄関を通って名無しが寝起きしている部屋に行くと、また女性の部屋らしい光景がナッシュの目に映る。
そこまで家具は多くなかったし、装飾物に溢れているわけでもなかったけれど、置かれていたのは確かに女もの、と形容するに値した。
鞄を置き、クローゼットを開ける名無しの後ろ姿をただ黙って見つめる。
そこでナッシュはふと目についたものを凝視すると、いかにも彼女が自分の様子に反応するよう、態度に表した。
「足……どうした」
「え…?!わたし何処か怪我して……ああ…これね……?見られちゃったな…」
「?」
好奇の目で名無しを見つめることで、自分の視線の先をすぐに気付かせる。
ナッシュが見ていたのは下方であり、長身の彼が向くとやけに目立っていた。
狭い室内というのも理由としては大きかったのだろう。
名無しは、ナッシュが試合中に使って汚していたタオルを受け取ると、自身のアウターをまずはクローゼットにしまい込んだ。
そしてそのあとすぐ、溜めていた洗濯物も含めそれらをランドリーボックスに放り込むため、部屋の隅に移動した。
色々と準備が整うまで適当に寛いでいて欲しい、という決まり文句を交えつつ籠の前で上肢を倒し、もとあった籠の中の衣類を細かく分けるためネットに手を伸ばす。
同じ体勢をキープしていた名無しの足元を見続けていたナッシュは、そのふとした瞬間に、自らの中にあるスイッチをオンにしていた。