rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第45章 undress yourself.
―――。
――。
「見られたらどうするの……目ざといんでしょ、センター…さん」
「あァ……?ああ、シルバーな……目ざといぜ、相変わらず」
「~~……ッ」
「まあバレてねえよ……そんなヘマはしねえし、オレがするとでも思ってんのかよ」
「思ってないけど……その…」
「なんだ……照れてたじゃねえか、嬉しそうに……。オレは一人で来てたおまえが、周りに変な女って思われてねえか心配だぜ」
「ナッシュ……っ」
「フッ」
簡易コートをあとにした帰路。
名無しにとって馴染みの深いその道をナッシュと辿るのは、なかなかに珍しい光景だった。
それもそのはず、ナッシュが名無しの部屋に行くのはこの日が初めてであり、ゆえに彼は胸を躍らせていた。
「……」
「……どうした」
「え……?!あ……ううん…」
「――嫌ならオレの部屋に行くか?別にオレは……」
「ちが…そうじゃなくて……その…、えと…」
「……ベッドが小せえくらいどうってことねえよ」
「!!な…んで分かるの……ッ、もう…」
「ハッ……あたりかよ。笑わせるぜ」
同じときを過ごすようになって、経った時間も、冗談を言い合った数も沢山溢れていた。
面白いほど喧嘩や言い争いはなく、あったとすれば、今のようなからかい沙汰ばかり。
そんななか帰り道、面白おかしく話しながら一瞬、名無しが表情を曇らせた原因はとても些細なものだった。
不安だったそれは自分の寝具の小ささについてだ。
眠る場所が窮屈という事実に、名無しはただただ純粋に申し訳なさを感じていた。
体格のいいナッシュにとって、自身のベッドでの睡眠は、翌朝も疲れが残るのではないだろうかと思い悩んだのだ。