rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第44章 breakfast is...
閉じていた目が自然に開いたのは、シンプルに睡眠欲が満たされたからだと思う。
それとあともうひとつ。
なんとなく視線を感じたからだった。
「……んん…」
「!フッ……起きやがった」
「、……見られてるかもって思ったんだもん……ふあぁ……」
「ああ……見てたな。ずっと」
寝慣れた枕は、しなやかな筋肉のついた彼の腕。
ときどきは純粋に使っていたクッションに頭を預けることもあったけれど、名無しにとっていちばん寝心地のよかったのは当然、ナッシュの腕枕だ。
関節を折られて抱き留められ、長い指に髪を撫でられている感触は眠っていてもよく分かった。
人差し指が耳の曲線を優しくなぞる……そんな所作も、ナッシュの好いていた愛情表現のひとつだった。
「ん…ずっと……?」
「……まあ、十分くらいか。…で?おまえは腹でも減って目が覚めたのかよ」
「~……そう思うならそれでどうぞ……ふぁ…」
「………」