rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第43章 powder snow
「……」
「?……どうした」
「さっきの女の子……ナッシュのことすごく見てたなあと思って……知ってたのかな」
「あの女も混ぜるか?おまえ戻って声かけて来いよ」
「な……ッ…ばか…!」
「フッ……久々に聞いたろ?笑えねえジョークだ……――出会った頃みてえだな」
「え……?」
「いや。……さっさと行くぜ。降って来ちまう」
カウンターで注文した飲み物をピックアップする際、ナッシュは二人分まとめてそれを受け取り、自ら名無しに手渡した。
合流したタイミングは支払い時と重なっており、代金も、彼が財布を開けタイトに済ませていた。
何から何まで様になっていて、思わず悔しさのような感情さえ抱いてしまう……。
隣で見上げてみれば、カップの飲み口に触れ、コーヒーを飲むことで上下する首筋や喉仏が、ただの服する所作だというのに妙にいやらしく感じた。