rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第7章 rain of fondnessⅢ
乱れた姿は勿論のこと、濡れたままの陰部に、片足に引っかかった下着もそのまま。
名無しは自分の置かれた状況を恥じながら、やはりどうにかして、ナッシュの腕の中からすり抜けるべきだと淡くその身を奮った。
もっとも、少し抗った程度で今更、結果が変わることはなかったのも承知の上で・・・。
「ナ・・・っ」
二度に渡って、それも連続で。
強引に絶頂を齎された。
が、それを以ってしても、物足りなさが消えたといえば嘘になる。
口が裂けても自分からは言えなかったそんな本心も、どうせばれるのは時間の問題だろう。
溺れ果てども満ち足りない・・・目に見えて身体も心も、まだそんな状態だったのだから。
「・・・っ・・」
名無しはもたれかかった際、ナッシュの鼓動を感じながらふと、では彼は、一体どんな気持ちを抱いて、今こうして自分と向き合ったのだろうと切なく思いを巡らせていた。
ただ自分を攻めることだけに徹していた、彼の胸中を思慮すればするほど、手に触れた熱を疑うことが出来なくなったのだ。
「んん・・・、ふ・・・んっ」
「・・・・・・」
逃げよう逃げようと、その身を拱いてもナッシュには勝てない。
それを、ふいに彼が両腕を少し動かすだけで、名無しは閉じ込められていたそこからいとも簡単に解放された。
同時に、自分の足ががくがくと震えていたことも思い出さされる。
入口の傍で辱めたのち抱擁を経て、ナッシュは名無しの手を掴むと、少しばかり無理やり彼女を歩かせた。
向かったのは同じ空間、少し奥にあたる場所だった。
そこには複数のロッカーとベンチが並んでいて、名無しはそれが視界に入った瞬間に、頭の片隅にあった嫌な記憶を再び呼び起こしていた。
それは部屋の左右、どちらかから何番目だったか・・・。
その椅子の上でナッシュに犯された、甘い痛みが迸る記憶だった。