rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第7章 rain of fondnessⅢ
よろめく身体を抱き留められて、茫然自失となる。
今までなら、目の前の男にもたれこむよりも、無機質な壁と、熱を持たない閉ざされた扉の方を確実に選び、その背中を預けていたことだろう。
「ハァ・・・、はぁ・・――」
「・・・フフッ・・・そんなに好かったかよ・・・ん?」
「!・・・・う・・」
「フッ、立ってられねえ・・・か。まんまとそのとおりになってんじゃねえか・・・。だが・・・」
「ッ・・・・」
「そら・・・支えてやったろ?・・・名無し」
「――・・ナ・・・ッシュ・・」
繋ぎ止められたままだった脈が自然におさまり、快楽の余波が霞む。
名無しは我にかえり、ふらついた自分が無機物ではなく、ナッシュにもたれかかっていたことに改めて気付いた。
慌てて離れようとしたのだけれど、その身は抱擁で囚われ、当然、小さな力ごときでは逃れられるわけもなかった。
「・・・!」
ナッシュの腕の中、そこでふいに自身の手が偶然触れたのは、ひときわ熱を持ったもの。
下半身はその中心にあたると、名無しは自分の顔が次第に赤くなってゆくのを感じ、視線をあちこちへと泳がせた。
「・・・ッ・・」
「来いよ・・」
「!!・・・あ・・」