rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第41章 tryst in a...
顔を近付けた時、汗の匂いが少しした。
シャワーは外の施設で浴びていた気がしたのだけれど、きっと軽く流しただけだったのだろう。
いつもなら、まだ湿った雰囲気になりきっておらず、自分に余裕があれば、そこで名無しにできたことがあった。
ナッシュの薄い唇をふに、と食み、小鳥のように啄ばんで弄ぶような戯れが、そのうちのひとつだ。
今はそれさえできずに強引にキスをして、舌を絡めさせ口腔の奥を攻める。
自分がよくされていることを自らナッシュに施して、彼の頭の中を、淡くも、色濃くもあるいやらしいことでいっぱいにしようと、ひとり躍起になった。
ベルトを解き、ファスナーの持ち手を摘む……。
笑われても構わないと思えるほど、名無しはただ、この場でナッシュと離れることを拒んでいた。
「ん……ッ」
「…ん、……ん…、ぐ…」
ナッシュの背が扉についてしまったことは、名無しにとって好都合だった。
そのまま彼の前で膝を折り、しゃがみこみ、一度喉をごくりと鳴らす。
私服のベルトとファスナーに手が向いていれば、あとはそれを捲って、名無しがすることは中のボクサーを臨むこと。
張りのある生地を指で引っ掛けながら、下着さえもずらせば、ナッシュのものを口にすればいいだけだった。