rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第40章 69
ゲームの合間に汗を流し、冷えたドリンクを飲み干す時のように喉を動かす。
一度息を吐くと、ナッシュは自らの唇に手の甲を添え、スッとそこを拭った。
「……っ…」
「……フフ、どうした…?」
「ッ……!ん…」
「無駄口も叩けねえか…、まあそうだろうな……こんな感じて、溢れさせてりゃあ…」
全身を汗ばませていても、まばたきをする度に揺らぐ睫毛はどこか涼やかに見える。
名無しの伏せた目の奥は、膨らませた期待ゆえ煌びやかに潤んでいた。
しっとりとした空気が漂うこの部屋で耳にするのは、淫靡を連想させる擬音ばかりだ。
「っ…ナッ……シュ…だめ…」
「んー?……んっ――…ちゅ……」
「!ふ、…ぅ……ッ」
ふと恋しく感じたのは、ベッドに背を付け、組み伏せられるあの瞬間だった。
少し癖のついたナッシュの前髪が自らの顔にかかり、くすぐったいと思うも束の間、近付けられた唇に心を奪われて何も考えられなくさせられる。
塞がれた両手をあえて故意に動かそうとすれば、彼は負けじと圧倒的な力で、いつだって名無しの自由に規制をかけてきた。
「ナ……、あ…ぁ…」
「またこんな…よくひくついてやがる……元気だな、おまえのココは」
「…ッ……!ぁ…イ…っ――」
これから肌を重ねるのだな……。
そう思ったのは、ナッシュがそういう表情を見せつけ、無意識に誘ってきたからだった。
それは彼の部屋に居れば夜毎よくあることであり、手を伸ばされた時、名無しは素直にそこへ自らの手を重ねた。
押し倒されて、キスをされ、愛撫を浴びるところまではいつもと同じ。
珍しく「それ」を求められ、そういえば普段はあまりしていない行為だったなと感じたときには、彼女は既にナッシュの上に乗せられていた。