rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第39章 I'm full.
「……もう…」
「……」
「…っ……なに…」
「…いや、……今日はあと何回、おまえを抱けるか考えてただけだ」
「~……ッ、そんなこと考えないでよ…っ、まだ今が何時か……わかって…」
ベッドをぎし、と唸らせ、腕力のままに名無しを抱き上げたナッシュは、自身の体液で顔の汚れた彼女を間近に、素直に愛しいと思った。
汚したかったからそうしたまでのこと……。
どんなに好いて、結び合える関係になっても、ぎとぎととした男の欲望というものはなかなか消せるものではなかった。
それに、名無しも汚されるのを真に嫌がっていたわけではないことを、彼はよく知っていた。
「なんだ……?その自信の無さそうな面は」
「、…早起きしたから……、眠くなって…お昼に寝ちゃったらって……ッ、ナッシュがこんな…朝から激しい、から……」
「ッ……」
「……っもう……ね、おろしてナッ……んっ」
早朝自分を起こしにきた名無しをめちゃくちゃに抱いても、どうせ直後には揃ってシャワーを浴びる。
計算の内だったそれを踏まえて顔に射精していたナッシュは、浴室の前に来たところで、何故だか眉を顰める彼女に戸惑いを覚え、静かに問うた。
名無しの返答は、案外と率直なものだった。
その中身がまあ、ただの惚気の派生のようなものだったゆえに、ナッシュは言葉を失い、同時に笑みも零す。
おかげで彼女をおろす所作をとり損ねると、名無しは太く逞しい腕のなかで一度身体を捩ることで、自らバスマットに足をつけていた。