rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第39章 I'm full.
「ッ……!!…おい……」
「!……ふふ。起きた……、おはよ…」
「おまえ……んっ…、あ……」
一、二分で起きるという予想が難なく当たる。
そのあいだに複数回に渡って窄めた唇、咥内で丁寧に愛した陽物は、僅かに残っていたやわらかさを掻き消し、ただのいやらしい物体と化す。
寝起きの擦れた第一声を喉から発し、ナッシュはむくりと頭を起こしながら、驚き混じりに名無しを見つめていた。
「裸で寝てるなあと思って……声かけても起きなかったから…、ん……」
「…ッ……」
一寸やそっとでは驚くことのないナッシュがそういうアクションをとるときは、相当だったということだ。
起きたてで目もまともに開いていない、閉じた片目や眉間に寄った皺が、紡いだ言葉とはまるで正反対だった。
まあ、まだたった一言、よく名無しを呼ぶときに用いる単語を発しただけではあったけれど。
その余裕そうに思える言葉に対して、彼の表情は比例していなかった。
たとえば、意外と気持ちが好すぎて、それをひた隠すための不機嫌そうな寝起きを演じているかのような……。