rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第39章 I'm full.
「……横暴…」
ナッシュの部屋に向かう途中、眩しく感じた朝日から肌や髪を守るために日陰を探す。
頭のなかで回想した昨夜の会話には小さく、一言だけ愚痴を零しながら。
名無しには、彼の言い分は直接耳にしていなくても分かっていた。
ひとつは遠回しに鍵を持たせたいこと。
そしてゲームのために外出するまでの空いた時間を、ただ素直に、共に寝室で過ごしたいのだろうということ。
「……ふふ」
外出しても遊ばずに帰ると言われても、朝から会いたいと我儘を通すナッシュにはいい意味で呆れる。
離れたくないのだな……と自惚れながら、自分だって同じ気持ちなのだから、大きな態度がとれないのがなんとも悔しいところ。
彼がコートを駆け回っている間に部屋で一人きりになっても、名無しが感じていたのは寂しさより、またこの部屋にナッシュが戻ってくるという、期待に溢れた想いだった。