rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第39章 I'm full.
夕方から地元のコートでゲームの約束があると言われ、それゆえに時間ぎりぎりまで二人きり、部屋でゆっくり過ごしたいと連絡がくる。
もちろん断る理由もなし、こちらの予定も空いてはいた。
けれど、ナッシュからそう電話がきたのは前日の夜のことだった。
「ふあ……ねむい…」
名無しは相変わらず鍵を持つことを拒み続けていた。
そこで告げられたのは、早朝、自ら玄関を通って来い……といういたってシンプルな提案だ。
別に夜じゅう玄関の施錠をしていなくても、一晩くらいなら大丈夫だろう。
そうナッシュは事を軽めに捉えながら、それとなく彼女に対し、鍵を持たせる口実に近付けようともしていた。
「…寝てるのかな……」
『朝でいいなら、そこで起きて玄関開け…』
『あァ?眠みぃだろ……おまえが入って来い』
『……じゃあ別に朝早くからじゃなくて、お昼前でも…』
『ごちゃごちゃうるせえよ…朝つったら朝だ。わかったな』