rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第38章 white day
別に意識するつもりなどこれっぽっちもなかった。
柄じゃないことなど分かりきっていたし、施したところで、同じように柄じゃないと言われるだろう。
してやろうと思ったのは、それこそ気まぐれだ。
名無しの驚く顔を見るのは嫌いじゃなかったし、何度見ても飽きることはなかったから。
「ん・・・、んん・・」
「チュ――ちゅ・・」
「ッ・・・、・・・?!ひあ・・・」
「ハッ・・・挿れちまったら起きるか、流石に。・・・よく眠ってたじゃねえか・・・まぁ、昨夜もよく啼いてたもんなァ?」
「ナ・・・んん!ひゃ・・」
「ハァ・・・ん・・・」
ちょうど一ヶ月前のことだった。
名無しもまた、こんなことをやりとりするのは自分達らしくないと口にしていた。
まあその理由の大半は、きっと彼女が選んだ男の所為ではあるだろう。
細くて儚い、一輪の花と一緒に・・・そして勿論、部屋で見かけたこともなかったゆえに用意したのは一輪差し。
ナッシュの部屋にそれを飾って、照れくさそうに小さな甘い菓子入りの箱を手渡した名無しは、自らの頬を花弁と同じような色味に染めていた。