rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第37章 his affection to lover
視界に入ったそれは、言わずもがなローションだ。
風味が付いているのか、甘い香りが口部より漂い、名無しの胸元にゆっくりと馴染んでゆく。
垂れ流された瞬間、名無しは再び振り返っていた。
そのとき先刻見送られたばかりのキスを不意に交わされて、ナッシュの舌は有無を言わさず、彼女の咥内を蠢いた。
短い頻度で驚きを孕まされ、湯船の中の両足をばたつかせる。
名無しが、早急に入浴を終えたがっていた様子も自ずと察した。
勿論、ナッシュが彼女の気持ちを汲むことなどありえなかった。
「は、・・ァ・・・ンッ」
「ハハ・・・なあ・・勃ってるぜ・・・乳首」
「ッ・・・ら・・、・・って・・あ・・」
「ん・・・撫で回しただけでそんなカオしやがって・・」
「ナッシュ・・・!あ・・・、おゆ・・」
「ああ・・・逃げるだろ・・・おまえ。だから少し抜いてやるんだよ」
纏わりついたローションはナッシュの言うとおり、シルバーが自チームのメンバーに、ジョークと本気を交えて宛てたもののひとつらしかった。
その量の多さたるやはどのあたりを基準にするべきか不明確だったけれど、まあとにかく相当だったのだろう。
少なくともナッシュがボトルの一本や二本、貰って帰って来られるほどには・・・。
浴室に密かに持ち込んでいたうちの一本のキャップを取り外し、名無しの身体に好き放題垂らす。
ナッシュは、赤い顔と耳をした彼女の表情に早くもご満悦だった。
ただ、逃げ惑うことをやめない行為には呆れたのか、そうさせないために、そして、更にローションの効力を上げるために、浴槽の栓に手を掛ける。
湯が吸い込まれてゆく独特の擬音が槽深くから聞こえると、二人が浸かっていた湯船は、瞬く間に嵩を減らした。