rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第37章 his affection to lover
「ひ・・・」
「まだ冷てえのか・・・まあ、どうせすぐに熱くなる・・」
「や、・・ぁ・・・ん、ナッシュ・・」
数分足らずのあいだに水嵩が大幅に減った湯船は、すっかりその字の意味を失っている。
まるで小さな子供が入るプールほどの高さしか、浴槽には湯が残らなかった。
微妙に残して再びナッシュが栓をしたのは、抵抗して蹴り上げた湯水を跳ねさせる名無しに、やけに色気を感じていたから。
それはベッドの中で無意味にシーツを蹴る仕草と何処となく似ており、口には出せない彼の性癖をゆるやかに擽っていた。
ひたひたと跳ねあがる水音も嫌いじゃなかったし、名無しの陰部から聞こえるものと確かな差異があるのもまた、耳心地はよかったのだ。
「ん・・・」
「や・・ぬるぬる・・・して・・、だめ・・っ」
「当然だ・・・そういう遊びだろう?ん・・・」
「ッ・・・ひぁ・・」
名無しにとって、湯があろうとなかろうと、どのみちナッシュから逃れる術などありはしなかった。
それでもいざ嵩が減ったとなると、浮力や、水の抵抗に気休め程度でも救われていたことがよくわかる。
字の如く潤滑を良くさせるローションは、浴槽のふちを掴むのも楽ではない。
みるみる身体にそれを追って垂らされ、名無しはナッシュの上半身に改めてもたれかかった。
悔しいかな、背に感じたぬめりは、不覚にも心地が好かった。