rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第37章 his affection to lover
「気になった、か・・・フッ」
「?」
服や髪に付いていたのは他人の香水の香り。
遊んでいたらしいクラブの店内には成人者も居たのか、薄らと煙草の匂いもナッシュからは漂っていた。
深夜が近かった時間や寒さも相まって、彼がシャワーではなく風呂を急いたのも当然だろう。
誘われた湯浴みに首を縦に振り、ナッシュの身体を背もたれに、今はもう余計なことは考えずに名無しは入浴の時間を楽しんでいた。
「毎年バカがバカ騒ぎしてるようなもんだ。・・・が、今夜は良いモノを貰った。・・・おまえと遊べる都合の良いのをな」
「え・・?」
湯船に身を沈める名無しを背後から抱き締めていたナッシュは、彼女の濡れ髪を優しく撫でまわし、うなじにそっと唇を宛がっていた。
いやらしく舐るような仕草を敢えてしないのは、ベッドの中までとっているのか、それともそこに意味はないのか。
ほんの少し身体の奥をキュンとさせ、名無しはそれでも、三日ぶりに感じるナッシュの肌や息遣い、声色に重なる視線、既にすべてに酔いかけている。
甘い時間を過ごせるだけで、それだけで幸せだったから・・。
「シルバーが宛ててたモンだ。けどな・・・数がバカみてえに多すぎだ。流石バカだぜ」
「ナッシュ・・・?・・・!何そ・・」