rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第37章 his affection to lover
「名無し」
「!・・・あ・・」
「チッ・・だから持ってろっつったろ・・・こんな・・耳まで真っ赤にさせやがって」
「いいよ・・っ、まだそんな・・持てないよ・・・失くしたら大変だし。・・・、それなに?」
「・・・、変わらねえな・・・その純情そうな面。・・・押し倒された後は豹変するくせにな」
「ひょ・・・っ、もう・・」
「まあ・・遅くなった・・・来い、寒いだろ?オレも今夜はシャワーじゃ物足りねえ・・」
名無しがナッシュと会うのは三日ぶりだった。
別に何ら支障のない平凡な頻度だ。
特別会いたくて仕方ないという気持ちも抱かなかったし、飽きるほど会いすぎているという自覚もない。
この日、元々忠告されていたことがひとつあるとすれば、それはナッシュの帰宅が遅くなるかもしれないということだった。
名無しはナッシュに理由を訊こうとはしなかったのだけれど、訊かないのもどうかと考え、形だけは夜の予定をやんわりと尋ねていた。
どうやらゲームの後、当日が誕生日というチームメイトがおり、その彼を派手に祝うのが、二人の待ち合わせ時刻をアバウトにさせていた原因だった。
まあ、年に数回同じ出来事は発生して当然だろう・・・名無しは素直に頷き、当日は遅めに出向くよう調整していた。
そして実際、ナッシュが祝いの現場から自宅に戻ったのは、日付が変わる直前だった。
季節は冬・・・明らかに長い時間外で待っていたであろう名無しの姿を見るや否や、彼が鍵の件を真っ先に口にするのも無理はなかった。