• テキストサイズ

rain of fondness【黒バス/ナッシュ】

第36章 fondness afterⅢ



折角自分が声をかけた、その意味をまるまる容易に覆される。
名無しに対しナッシュは小さく舌打ちしながら、その場に留めていた身を乗り出した。

当然、伸ばした腕は名無しをつかまえるため。
そしてベッドの上で組み敷くため――。

それは彼女の言葉に、強靭である筈だったナッシュの理性の糸が、ぷつりと切れた瞬間だった。


「!・・・っ」

「なんだ・・・オレの腕を掃っておいて・・・。帰る気でいたんじゃねえのかよ・・」

「・・・そうだけど・・、だって・・・ナッシュが・・」

「オレが?」

「・・ッ・・・なんでこんなに・・好・・・。欲しいって、思うの・・?」

「、・・・ッ・・」

「まだ足りないの・・・かな・・私・・、おかしく・・・」


さっさと服を着て、出れる準備をして帰ればいい。
ナッシュのシャワーの時間が長い筈ないことだって分かっていたのだから。

名無しがもたもたと、帰るつもりでいたくせにベッドの上に居続けたのは、本音が二分していたからだ。
帰らなければいけないことも本心、そして、帰るなと言って欲しかったこともまた本心。


心の奥底で名無しは喜びを噛み締めた。

それはもちろん、押し倒されたことに対してだった。


/ 349ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp