rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第36章 fondness afterⅢ
「はぁ・・・ナッシュ・・?」
「・・・・」
肌を重ねてしまったとはいえ、シャワー上がりだった名無しはその後、事後をベッドの上で過ごし、追って下着を付けた。
そしてナッシュは、ひとり浴室へと向かった。
彼は身体を軽く流してすぐにそこから出てくると、冷蔵庫から取り出した冷えた水を持ち、ローブ姿で再び名無しのもとへと戻っていた。
そのボトルの中身を、まずはナッシュが勢いよく飲み干している様子を、名無しが少しの会話まじりに一瞥する。
すると、予期せぬタイミングで自身も水分を補給させられ、当然驚けば、まだ露出の多かった彼女の白い肌の上には、飲み損じの雫が零れていた。
「・・・?」
「・・・冷えたろ・・舌も。フッ」
「ッ・・・急に来るから・・もう・・」
顔を上げると突然口移されて、思わず胸がきゅんとなる。
奥へと滑ってゆくひんやりとした水の感触には、喉が渇いていたことを思い出さされた。
顎から伝い、胸元に落ちた水滴の冷たさに身震いした名無しは、自分を見下ろすナッシュの視線が再び、少しの色香を漂わせていたことにもすぐ気付いた。
「・・・・」
この男はまた、下着と、軽くまだキャミソールにしか袖を通していなかった自分を押し倒すかもしれない。
なんとなくそんな予感がしてベッドの上で後退りをすると、ナッシュはそんな名無しを前に驚きまじり、一度だけ鼻で笑った。