rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第36章 fondness afterⅢ
「おまえの所為だろ・・・違うのかよ」
「・・・う・・」
なかに出され、自身もまた達かされて、頭を真っ白にさせられた事後。
ナッシュは何もせず、ただ抱き締め合うだけの後戯に抱く別の多幸感を求めて、自分の両腕のなかに名無しを閉じ込めていた。
またずるずると彼のペースに嵌ってゆくのか・・・そう思いながら、名無しは流されている自分にほとほと呆れる。
が、そんな呆れている自分も嫌いじゃないと素直に思えた。
「おい・・・顔上げろ」
「え・・?・・・ッ!ん・・」
名無しはしばらくナッシュの腕に従順に抱かれながら、共にその朝の事後をまったりと過ごしていた。
数分経つ頃にはベッドからひとり起き上がるつもりで、怠さに意思が潰されないよう、気を確かに持ちつつ・・・。
そして実際、きちんと起床もしてみせた。
大好きなその腕を掃うことには正直、抵抗がなかったわけじゃない。
けれど、もう堂々と掃える立場にいるという自覚もあったし、いつまでもベッドのなかで溺れている場合じゃないという、贅を含んだ焦燥が名無しを逸らせていた。
「んん・・・ちゅ・・、んく・・」
抱かれる前にベッドの下に落とされていた、自身の下着とバスローブを黙って拾い上げる。
頭を起こして名無しを見ていたナッシュは、このとき意外にも、彼女を追うことも、また再び手を伸ばすということもしなかった。
さらさらとした髪を撫で、ただ単に、額に軽くキスをする。
名無しが起きあがったのを機に、ナッシュ自身も気持ちを切り替えたのが率直で単純な理由だった。