rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第35章 fondness afterⅡ
これ以上なく見開いた目をしていた。
驚きに身動きをとる様もどこかぎこちない。
そんな名無しを見て、ナッシュは朝からおもいきり笑ってやりたいと思っていた。
が、自身の目覚めもまだ完全ではなかったのだ、高笑いするにも喉はからからだったし、身体も気怠さが消えていたといえば嘘になる。
自分らしく皮肉を零すことで、彼なりの愛情をナッシュは名無しに囁いた。
「・・・」
「・・・・・・」
胸元でタオルを握り締め続け、名無しはナッシュに奪われた下着を取り返そうと、頭の回転速度を上げた。
もちろん虚しく空回って終わるのが、この場合もあてはまる。
ナッシュはまじまじと手にした名無しの下着を見つめながら、彼女の頬が赤らむような言葉を繰り返し、まんまと自らのペースに誘い込んだ。
シャワーに行くのに、置いてけぼりを食らった彼なりの仕返しのようなものなのだろうか・・・。
もしそうであるならば、自分も大分、一層人間くさくなっているなと密かに感じた。