rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第34章 fondness after (side Nameless)
「・・・起きない・・」
「・・・ん・・」
「・・、・・・ふふ・・」
名無しはベッドから少し離れると、裸のままだった身体をローブで覆うため、部屋を一周見渡した。
起きてしまった以上、これからどうするかなんてシャワーを浴びる以外にあまり選択肢はなかったのだけれど、羽織が欲しいとは普通に思ったのだ。
ソファに置かれたそれを見つけると、名無しはローブを手に取りながらもう一度ナッシュの眠るベッドに視線を送る。
すやすやと、潜めがちな息をしながら目を閉じ続ける彼を見つめながら、名無しはナッシュのことを直感で可愛いらしいと思い、ひとり小さく笑った。
その言葉を口にしようとしたところで喉の奥にしまい込んだのは、聞かれていたときのイフを思ってのこと。
奏でたのは、心の中でだけだ。
「ん・・・」
その後、ローブを持ったまま浴室に向かった名無しは、あたたかなシャワーに打たれながら情事を思い出し、自分が手に入れたものを改めて噛み締めていた。
耳にこびり付いて離れないのは、愛情に溢れていた、ナッシュが紡いだ言葉たち。
胸の高鳴りが止められない、幸せだ・・・そう感じずにはいられなかった。
ボディソープに手を伸ばしながら、名無しはナッシュが目を覚ますのを心待ちにしていた。
20171118UP.