rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第31章 rain of fondnessⅪ
『ちょうどよかったぜ。ムシャクシャしてたところだ・・』
最低で最悪だった。
『なんだ・・・また達ったのか』
早く解放して欲しかった。
『いっそ開き直っちまえよ・・・』
心の中に入って来られるのが嫌だった。
『おまえがオレ以外の男に満足するとは到底思えねえよ・・』
胸を預けた途端、突き放されるかもしれない・・そんな怖さがいつしか過ぎった。
『オレが抱くのは、おまえだけだ・・』
信じてはいけない、信じたい・・・どちらを選べばよかったのか、伸ばした手をとってくれるかずっと不安だった。
『二度と離すかよ・・・名無し――』
この数ヶ月、沢山の言葉を浴びせられた。
時が経てども絶望しか見えず、暗くない未来など想像もできなかった。
彼を好きになってしまうまでは。
視界に今広がるは、その絶望が消えた、大好きな人が傍に居る世界といえば、少しは格好もつくだろうか。
「・・つかまえてて・・・ずっと――」