rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第31章 rain of fondnessⅪ
「名無し」
「・・っ・・・」
座り込んでいた自身の太腿に両手をつき、もだもだとした内気な態度を見せていた名無しは、ナッシュの言葉を耳に、更に頭を真っ白くさせていた。
が、頬に触れた大きな手のひらの熱に平静を取り戻し、伏せた視線をそっと上げる。
ずっとずっと紡ぎあぐねてきた気持ちを言葉にするため、彼の手に自らのそれも重ねながら、名無しはナッシュと共に、再びベッドに身を預けた。
「ナッシュ・・・」
名無しに半ば押し倒されていたナッシュは、反動で手中の箱を枕元に零していた。
けれどその瞬間だけは気にも留めず、ただ黙って彼女の瞳を見続けた。
「ッ――・・・すき。ナッシュが・・・好き・・」
「・・・それだけか・・?」
「・・離さないで・・・ずっと――」