rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第31章 rain of fondnessⅪ
「バカだよね、振り返ったって・・・ナッシュなわけないのに・・。同じ匂いがしたからって、名前呼んだりとかして・・・解放されたとおもって・・・旅行、楽しんだのに・・」
「・・・・」
「・・二週間も会わなかったんだよ・・・今までこんな、会わなかったこと・・なかったわけじゃないのに・・・!ナ・・」
「・・・ッ・・」
「・・・ナッシュ・・・?」
彫られた部位をなぞられて好きにさせたわりには、改めて触らせると、そのくすぐったさに唇を尖らせ軽く舌打つ。
嬉しそうな名無しを傍らに、けれどその状況下で彼女が起き上がれば、ナッシュは不服そうな顔をして低く声を漏らした。
折角横になった矢先、ベッドを離れてまで何の用が自分の鞄にあったのか・・・まあ、持たれたその中身を目にすれば、その疑問もすぐに解けたのだが。
名無しよりも大きな、彼の手の上に乗せられたそれ。
とある箱の中身は、ナッシュがいつも付けていた香水だった。
「ナッシュ・・・」
「やっぱりおまえ、誘い上手になったな・・・フッ、オレの所為か」
「っ・・・」
「向こうで思い出したって・・・?オレを・・。離れて、せいせいして・・・のんびり出来たんじゃねえのかよ・・」
「、・・・出来たよ・・・っ・・でも、出来なかっ・・――・・・、寂・・・ッ」
「フフ・・・。ああ・・、知ってる――」