rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第5章 rain of fondnessⅡ
何度も扉にぶつかる自分の背中。
あいだには、割ってナッシュの手が伸びる。
下着のラインをなぞられただけで、名無しはぞくぞくと身を震わせた。
舌の触れ合いは変わらず気持ちが好くて、話す為にキスを止められるのも、本当は嫌だった。
そんな中、口腔をふいに解放されたのならばと、名無しはここまで来て自分の想いを言えないでいたことを辛く感じ、その気持ちの頭文字を、ひとつナッシュに紡ごうとした。
けれどナッシュはそれを阻み、途中でまた強引に唇を塞ぐと、彼女を自己のペースへと引きずり込む。
どう思っていようと、彼女の気持ちは、もう十分すぎるほど分かっているのだから。
それよりもまずは耳にしたいと感じた、名無しの甘い声をナッシュは求め、逆に望みを紡いでみせた。
「ん・・ん・・・ッ」
こんなに想いの乗った、互いに感情を込めたキスを、名無しは知らなかった。
そしてそれは、ナッシュも同じだった。