rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第31章 rain of fondnessⅪ
大好きな枕は彼の左腕。
もうずっと伸ばされたこの手に、今は自らその身を寄り添わせていた。
「おい・・・あんま触んじゃねえよ・・」
「・・・ひょっとして・・くすぐったい・・?」
「~・・・ッチ・・」
こうやって過ごせる穏やかな夜が来ることを、ずっと夢見ていたのかもしれない。
そんなものは一生訪れないだろう。
考えることすら愚行だ・・・そう思っていたから、深いようで浅い眠りにしか、今まで就けなかった気がする。
段々とぐっすり目を閉じられる日が増えて、失いたくないと確信してその身に刻むのは、相手のぬくもり以外に考えられない・・・。
「~・・・さわっていいって言ったくせに・・」
ナッシュの腕の模様、そのひとつひとつの曲線を、首筋から順に白い細指でなぞる。
ベッドの上でまるで猫のように身体を丸め、じゃれた態度を見せる名無しの表情は、とても幸せそうだった。
そんな彼女を真横で見つめるナッシュもまた、穏やかな眼差しをしていた。
「あ・・・。あのね・・ナッシュ・・・」
「、あ・・・?」