rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第30章 rain of fondnessⅩ-5
「・・・もうベッドに行きてえと思っただけだ・・。抱くなら向こうで・・・だ」
「!・・・」
「・・なんだ・・・」
やがてバスタブから出て洗い場に立ち、再びシャワーを流されて、ようやく入浴の終わりが二人に訪れる。
腹の中に残っていた体液をナッシュ本人に掻き出されながら、名無しは照れた表情を垣間見せると、その恥ずかしさのあまり顔ごと目を伏せた。
「ッ・・・」
また悔しいという気持ちが溢れる。
喉元から零される声音に、たとえ事後でも、身体をきゅんと疼かされる。
ナッシュの不意打つ言葉に含まれていた更なる冗談は、名無しには読めたものではなかった。
ここで動じればきっと、それはまた彼の思うつぼになってしまう・・・。
分かっていても赤ら顔は頬が染まり、唇も、名無しのそれはほんのりと色付いてしまっていた。
「う・・・」
「ハン・・・どうした?出し抜いてみせろよ・・オレを」
そんな恥じらった表情になっていても、懸命に慌てふためきかけた初動だけは堪えてみせる。
流されていたシャワーの夢心地を頼り、彼に言い返す言葉には、自分なり、想いのすべてを乗せながら。
名無しは少しでもナッシュを驚かせようと、そして喜ばせようと、精一杯の言葉を告げた。